今年の9月は天候不順で山の天気予報も期待できなく、案の定2日目までは雨だったが3日目の北方稜線歩きの日は朝から晴れて、山親爺は神ってると思った。 | |
山親爺の山歩きのスタイルは蝸牛のごとく尾根を這いつくばる歩きですが、今回剣岳・北方稜線のバリエーションルートを挑戦することにした。それは5年前(2011年)早月尾根から剣岳山頂で休んでいると北方稜線から登ってきたおばさんたちが満面の笑みをたたえてハイタッチしてくれた。 それから北方稜線を歩いてみたいと2014年Aガイドに申し込みをして、現地集合の大町駅前で前泊していると親族に不幸が発生したとキャンセルになった。翌年もP社に申し込みをしていたが、月山での木道転倒による肋骨骨折で自己原因でのキャンセルとなって3度目の正直である。 |
|
過去のバリエーションルート経験はたった3回を振り返ってみることにした。 @ 奥穂高岳からジャンダルムに立つ岳人にあこがれて、西穂高岳からジャンダルム・奥 B 甲斐駒ケ岳から西に延びる鋸岳稜線に興味を持って鞍掛山に登って更に登行 |
|
もう一つ今回の歩きで51年前(1965年)九州時代にSCRAP仲間の建ちゃんと久夫君(以降愛称のシリコンと呼びます)と三人で室堂〜立山三山〜剣岳〜仙人池〜阿曾原〜欅平を歩いた時のことが、いまだに九州帰省の折に飲んでいるときに必ず出ることを復唱してみました。 『剣沢のテント場が何処だったかなーと言っていたが、小屋の上方にしかテント場は無いようだよ。剣岳をピストンして真砂沢まで下ってテントを張ったよね、下りの時にグリセードの練習をしたが何故ピッケルを持って行ったのか、誰のピッケルを借りて行ったか不思議だよね。建ちゃんが真砂沢テント場で大きな岩の上に月が出ていたのが印象的だったと口癖のようによく言うが、今回真砂沢で何処にテントを張ったのか、大きな岩が何処にあるのか判らなかったよ。 二股から三ノ窓雪渓は今年の積雪は非常に少なく全く見当たらなく囂々と沢水が流れています。我々の時は三ノ窓雪渓はコルまで伸びていて「登ってみようか、往復2時間もあれば大丈夫だよ」とシリコンは「俺はここで待っているから」と建ちゃんと二人で登ったね。シリコンが撮った登る後ろ姿の二人は写真展で入選したよね。 2時間たってもコルはまだ先で大きなクレバスが出現、右側の岩場をへつって登ったね。しかし、下りは岩場を通過することは出来なく、クレバスに掛かった足幅しかなく長さ的に4〜5mのスノーブリッジを一歩一歩ソロリソロリと渡ったね。もし落ちたら10m近く登る術はなっかただろうに。渡り終えたときに八ツ峰を攀じっていたクライマーから拍手をもらって応援してくれていたのだととても印象的だったよね。 二人でシリコンが首を長くして待っているだろうと先日練習したグリセードで飛ばして戻ると、飯盒と缶詰と「先に仙人池に行きます」と雨に濡れたメモが置いてあった。 これから先の仙人尾根の急坂は全く覚えてなく、今回も雨のため裏剣を見ることができなかったよ。見えたらこの光景を二人に伝えたかったのに残念です。 その後も欅平や金沢でハプニングもあったりして、半世紀経っていても忘れられない山行だよね』 |
|
日程 | 2016年(H28)9月22日〜25日 |
メンバー | ガイド(パワーゾーン)高橋、ゲストは藤本(神奈川)、深川(愛知)大石(福岡)山田(千葉) 以上4名 |
9月22日 | 君津BT6:00=東京7:20=北陸新幹線=富山9:31/10:20=室堂12:30/13:35…別山乗越15:50…剣沢小屋16:40 <行動時間3時間05分> |
室堂バスターミナル13:30集合。ガイドの高橋氏とゲストの深川氏と合流して雨の中を剣沢小屋に向けて雨の中を歩く。二人の歩きは早く少し遅れ気味になる。明日からが思いやられる。ゲストの藤本氏と大石氏二人は先に小屋に向かったとのことです。 小屋はきれいで食事もおいしく、部屋は2段で1室10人に今日は我々5人でゆっくり出来、濡れ物は乾燥室で完全に乾きます。 夜半も雨の音を聞いていた。 |
|
剣岳北方稜線バリエーションルート(スライドショー) | |
9月23日 | 剣沢小屋(2400m)6:05…真砂沢ロッジ(1780m)9:05…二股10:25…仙人池分岐12:15…池ノ平小屋(2100m)13:00 <行動時間6時間55分> |
完全装備で出発します。剣沢雪渓は雪がなく右岸の夏道を長次郎谷出合まで歩きますが、一枚岩に渡してある木の桟橋を渡ったりと結構時間を費やします。 右岸から左岸に渡る雪渓はアイゼンの練習も兼ねて履いて渡りました。左岸も夏道となりますが草木が生い茂っていて、ここでFさんが足を踏み外すハプニングもありましたが大事に至らなくてよかったです。 真砂沢ロッジでようやく一休みで行動食を口にします。同じような道を辿って二股のつり橋を渡ります。雨は小降りで降ったり止んだりするので、その都度フードの着脱を試みます。ここから仙人新道の急坂が待っていてベンチで一休み、晴れていればここからの裏剣は見事ですと話してくれますが、見えるのは乳白色の霧です。 仙人峠まで女性の単独行者のみで、小屋で軽アイゼンを借りて小屋の人から注意を受けていた我々の後に発ったグループの姿は見ることがなかった。 池ノ平小屋から池ノ平山をピストンする予定だったが、明日の英気を養うためと眺望は全く期待できないため中止します。 パンツ以外は履き替えて狭いストーブ乾燥室に干して、一段落ついたら訳入りビールで談笑です。今日の泊り客は先客(ハシゴ谷乗越から)の4名、我々5名、後続のやはりハシゴ谷乗越からの4名、3名グループで総勢16名で。みんな北方稜線です。 夕食時居合わせていた‘富山山岳警備隊’から明日の行動の注意事項があり、一風呂浴びて汗を流すとさっぱりしましたが、まだ雨が降っています。 |
|
9月24日 | 池ノ平小屋(2100m)5:40…旧鉱山道…小窓雪渓…小窓のコル(2300m)7:45…三ノ窓コル(2700m)9:55…池ノ谷乗越(2850m)11:00…長次郎ノコル(2950m)…剣岳(2999m)13:10/13:30…剣沢小屋(2400m)16:45<行動時間11時間5分> |
夜半トイレニ出ると星が・・・目を覚ました時にも星が出て今日の好天を約束してくれています。小屋のお母さんは「何処かで会いましたよね」としきりに言ってくれるので「何処にでもある顔ですから」と答え「気をつけて行ってきてください」とお見送りの言葉をいただいて小屋を後にします。 八ツ峰もモルゲンロートに輝き、後立山連峰も望め、本命の北方稜線歩きを祝福してくれます。 旧鉱山道(昔モリブデン鉱を採掘していた時に使った)から小窓の雪渓に降りてアイゼンを装着しますが。雪渓は氷状態でピッケルの刃も刺さらなく堅く、4人パーティの2人はアイゼンを持ってきていなく、そのグループは引き返したのでしょう。グループ内での装備確認不足とは大問題です。 小窓雪渓では警備隊が昨年遭難者の遺体をヘリで回収するシーンも見てコルに出ました。小窓ノ王基部は通年なら雪渓が残っていてアイゼン装着のことですが、今年は雪がなく難なく通過することができます。 岩場のアップダウンやトラバースを繰り返しながら写真を撮る余裕もなく必死に着いて行きます。自分には現在地の確認は出来なく、聞いてもはっきりしません。三ノ窓のコルは判りました。池ノ谷ガリーの崩れやすいガラ場の登りには落石に細心の注意をはらっての歩きで精神的に大疲れです。 アンザイレンしたのは何処からでしょうか?無しでも十分に歩けるところでしたが、これも経験です。 長次郎ノ頭付近から垂直の壁は懸垂下降で降りて長次郎のコルからはアンザイレンも解いて剣岳本峰も見えてきて不安定な岩場をひたすら登ります。 小屋から歩くこと7時間30分で山頂です。やっと念願かなって握手握手です。 ここから剣沢山荘までは一般道ですがカニの横這いや平蔵の頭・前剣・一服剣と別山尾根の下りも疲れた身体には応えます。 雷鳥の親子が頑張れよと声を掛けてくれ剣沢小屋に全員無事到着、ガイドの高橋さんにメンバーの3人に感謝します。ありがとうございました。 着替え等一段落して談話室で乾杯!!小屋にはガイドが沢山たむろしています。 夕食時にも800tが空きました。 |
|
9月25日 | ;剣沢小屋(2400m)6:15…別山乗越(2760m)7:15…雷鳥沢(2260m)8:30…室堂(2450m)9:45 <行動時間3時間30分> |
帰路のルートは室堂からトロリーバス10:45=大観峰ロープウエイ=ケーブル=トロリーバスで扇沢に出て、薬師の湯で温泉に入って大町15:27=松本17:18の特急あずさで君津21:50でした。昼食兼夕食は松本駅ビルの食堂で気の抜けた生ビールとまずいヒレカツで済ませました。 体重・体脂肪・内臓脂肪率が下がっていることを期待していたが、何も変わっていないのにがっかりです。 |