2016夏の北ア・針ノ木谷古道 
 1584年戦国の武将佐々成政は、芦峅寺の中語(山岳ガイド)を先導に家臣18人と厳冬の北アルプスを横断した。現代においてさえ容易に人を寄せ付けない厳冬の北アルプス、この時代のことを考えれば日本山岳史上に残る出来事と言えるだろう。このルートは、芦峅から常願寺川を遡り、ザラ峠で立山連峰を越えて、平付近で黒部川の渓谷を渡り、針ノ木峠を越えて信州の野口村(大町市)へ至るコースが有力とされています。この一部の針ノ木古道を歩きたいという願望を実らせるために計画し仲間も賛同してくれて、沢の水量が少ない9月に実行に移した。
 期日  平成2892日(金)〜5日(月)
 メンバー  山田、吉島、伊藤、蔵、藤原
 9/2   君津IC19:30=安曇野IC22:45=道の駅松川安曇野23:00/5:20
 道の駅松川安曇野で前祝をしてシートに横になっての仮眠。目を覚ますと有明山は雲の中、台風12号の影響が心配だったが扇沢に着いたときは秋色のブルーが広がっていた。満杯の無料駐車場の入り口の空きスペースにかろうじて停めることができた。
針ノ木谷古道スライドショー 
 9/3   =扇沢6:00/7:30=ダム=8:25黒部平9:20…ロッジK410:15…平の小屋14:35(泊)
行動時間5時間15
 トロリーバス・ケーブルと乗り継いで黒部平に上がる。立山連峰に五竜・鹿島槍に針ノ木の後立山連峰に水晶から伸びる読売新道の赤牛岳も望め、「この眺望だけで大満足、山に登らなくても良いよ」なんて笑い声も出ます。

黒部平からロッジK4に下って、黒部湖の左岸をアップダウンを繰り返して平の小屋に到着し早速1回目の乾杯です。この小屋の犬(モモ)から掌を噛まれた女性に蔵さんが救急道具を出しての素早い処置に彼女は「こんなに親切してもらって」と涙を流していました。その彼女(素泊まり)の夕食の岩魚をお裾分けしてもらって、残った頭と骨と尾を焼いて骨酒にして飲みました。

平の小屋の親爺は結構酒飲みで勉ちゃんが高級ウイスキーを彼のカップに注ぐと手を放すことなく、この小屋の歴史を「安土桃山時代からある…」とか語っていました。‘釣吉三平’のモデルだったとかの話でしたが?。

 9/4   平の小屋6:10=(船)=渡し場6:25…木橋7:15…(この間渡渉9回)…船窪出合10:15/10:45…船窪乗越12:10…七倉分岐13:30…七倉岳13:40…船窪小屋13:55(泊)
行動時間7時間30
 翌朝は渡し船6:00で対岸に渡るのですが船長の小屋の親爺はなかなか降りてこなく「二日酔いでまだ寝ているのでは、迎えに行こうか」と話してたら20分遅れで悠々とやってきました。

ここからが今回のメインイベントです。左岸をしばらく歩いて木橋で右岸に渡たります。南沢の分岐を右手に見て針ノ木古道の標識をみていよいよ突入です。今回の渡渉対策でロングスパッツ・ダブルストックを装備に加え、ロープは持ってきたが使うことはなかった。

1番目の渡渉地点にはロープが張られていますが、水量も少なく頼ることなく左岸に渡れます。その後右岸・左岸・右岸に渡って高捲で沢と離れる。
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組の登山者が船窪小屋から下ってきて、今日は五色ケ原までと健脚です。

シナノナデシコ・ミヤマリンドウ・トリカブト・サラシナショウマ・アキノキリンソウ等々が目を癒してくれます。

高捲きを下って再度渡渉が…5回めは左岸・右岸・左岸・右岸・左岸と合計9回でフナクボ出合です。沢水が少なく渡渉に時間を喰うことなく、渡し場からコースタイム5時間30分が3時間50分と大幅に短縮していました。難関を難なく突破して余裕が出て、吉ちゃんがスープを作ってくれます。針ノ木峠へはコースには大岩に緑のロープが巻かれ黄色の薄いペンキのマーキングが確認できました。

船窪乗越への急登が始まります。ゴゼンタチバナ・アカモノの赤い実にシラタマの白い実にコゴメグサを眺め、コロマメの木の実を口に入れたりと高度を上げると、蓮華岳・針ノ木岳に船窪岳も顔を出して乗越に出ました。藤原女史も渡渉ではへっぴり腰だったが、山道では健脚で疲れの様子を見せることはありません。

七倉岳に寄って船窪小屋に。最初の訪れは1999年で今回は5回目ですが、小屋の雰囲気・料理は全く変わらず人気の所以である。夕食後はネパール茶でお茶会があって親爺さんの黒部の貴重な話を伺った。夜は満天の星で埋め尽くされていた。

 9/5   船窪小屋6:15…七倉10:30=(タクシー)=扇沢11:00=薬師の湯?11:10/12:50=安曇野IC13:25=君津IC16:35
<行動時間4時間15
 朝陽を拝んでモルゲンロートに染まる槍穂高から薬師・立山・剣等々の北アルプスの山々を眺めてお父さん・お母さんの鐘の音に見送られて山を下った。

この三日間、台風の影響もなく好天に恵まれて意義深く深みのある山歩きが出来たことに感謝です。